不安と不満と転職

不安は漠然とした状態、不安が顕在化すると不満として現れる。個人的にはそんな感覚で、それぞれの単語を捉えている。不安は誰しも少なからず存在すると考えていて、仕事をしていても「うちの業界、大丈夫なのかな」「仕事がどんどん増えていきそうだな」など、心配ごとは絶えない。多くが杞憂なので考えるだけ無意味ともいえるが、ある種のリスク管理を行っているとも考えられる。ただ、その段階で「転職」という大きな決断につながる可能性は少ないと思える。なぜなら、現状に不安はありつつも目に見える形でマイナスな何かを体感する機会は少ないから。居酒屋で会社の愚痴をこぼしながら粛々働くような、絶妙なバランスのもとで働き続ける選択肢が有力だ(もちろん悪口は言わないに越したことはないが、適度な発散は必要かと)。もちろん先々を見据えた不安型の転職も先手を打つ意味ではアリなのだが、ハイリスクハイリターンの要素が強くなる。将来性不安からの転職後、実際にもともといた会社が経営不振になったら、わかりやすく「転職は正解だった」となるのだが、そうならなかった場合に後悔するケースもあるだろう。不安の段階では転職への焦りは禁物なのかもしれない。

ただ、不安と付き合っていく中で、段々と不安が蓄積してきて目の見える不満になったり、突如として大きな不満がやってくることもある。給料もう少し欲しいなと思っていたところにボーナスカットが宣告されたり、新規プロジェクトへの参加や異動などで人間関係が変わり、相性の悪い上司がついてしまったり。そうなると明確な不満にどう対応するか、という状態になり、本格的な転職検討に移行するだろう。現状を打破する手段として、転職がはっきりとした打ち手として浮かび上がってくる。現状に具体的な不満があることで、転職によって何を変えたいのかを具体的に描けるようになっているからだ。個人的には、人は不満があるから大きな変化の決断ができると思っている。「大きな不満も不安もなく毎日楽しいけど、さらなる高みを目指すために成長できる場へ」みたいなタイプもあるのだろうけど、基本的には何らかの問題があるから、それに対応する術を模索するはずだ。まずは抱えている不満を言語化し、どうすれば不満が解消されるのかを考えることが、転職の第一歩だと考える。