バリバリ働きたくない人の転職は「目指すべきほどほど」の定義から
静かな退職より「ほどほどキャリア」を目指した転職
「静かな退職(Quiet Quitting)」というムーブメントは、コロナ禍以降、アメリカの若年層中心に広まっています。静かな退職とは、退職はしないけれど、仕事へのやりがいは求めず、限られた範囲で淡々と最低限の業務を遂行する働き方。いわゆる窓際族です(日本でも、年収2000万のエリート窓際族「Windows2000」が話題になりました...)。身体の健康面やプライベートの優先度を上げているという面で価値観としてはとても理解できます。でも、やりがいを全捨てするのは楽しそうではありません。疲れた人が一時的に実践するならいいのですが、中長期的にはそれなりにやりがいを得られる環境を目指し、本当に退職・転職したほうがいいと感じます。静かな退職を検討する人なら、ほどほどの働き方・キャリアを歩んでいきたいはず。では、ほどほどのキャリアを目指す人が転職をする場合には、どういった軸で動くべきなのでしょう。
量的・質的に考える「ほどほど」の軸
「ほどほど」にも、量的・質的の2種類があると考えます。量的は非常にわかりやすく、「時間」と「お金」です。時間については、「休める時間を増やしたいから残業を減らしたい」「決められた時間で働きたくない、フレックス勤務がいい」といった考え方になります。お金に関しては、「ほどほど」なので、「とにかく給料をたくさんもらいたい」ではなく、現状維持以上が基本線になるでしょう(ケースには因りますが収入が下がる転職は避けるのがベターです)。質的というのは、仕事内容に関わるもの。「営業職に疲れたので事務職にチャレンジしたい」「家庭での時間の確保のために在宅勤務がいい」といった数字では表せない要素です。「やりがい」も該当します。質的なので定量的には形容しにくいですが、やりがいは追及しすぎずとも、「ゼロ」ではモチベーションを保つのが厳しいですし、採用選考を突破するうえでも「ほどほど」の動機・やりがいに思えるものは必要でしょう。これらのバランスを鑑みて、自分なりのほどほど(いい塩梅)を探って軸を作ることになります。
「しっかり」と現状分析を行うのが転職の第一歩
軸を作るうえで現状分析は欠かせません。納得のいく「ほどほどな働き方」を実現するために、こうした準備は「ほどほど」ではなく、「しっかり」やるべきです。現状分析では、現職への不満・目指す働き方を書き出したり、職務経歴書を作るのが有効。現状(As-Is)と理想(To-Be)を正しく把握し、ギャップを埋めるために動くのが転職の基本です。そして、転職の選考に進む際に重要なのが、本音と建前。当たり前ですが、「ほどほどがいいんです!」と自分の都合を主張しても採用側のメリットがないので、どう役に立てるのか、ある程度の建前も意識して伝えましょう(「ある程度」というのがキモで、本音が入っているのが入社後ギャップ対策としても大事)。最近は、直近での転職は考えていなくても転職サイトに登録している人も多くなっています。こうして市場での自分の見え方を確認したり、一度プロのエージェントと話してみるのも、客観的に現状を捉えたり、選考対策に備える手段です。何故ほどほどがいいのか、どんなほどほどがいいのか、自分らしい働き方・キャリアの実現のために、これらは徹底的に深堀りしておくべきだと思います。